2017年度 海洋生態系科学の模範解答

海洋生態系科学の模範解答を掲載します。皆さん、しっかりと復習してください。採点していて、少し気になった点を述べておきます。

 

1)「述べなさい」で単語だけ並べてもダメ

論述するように言っているにもかかわらず、単語だけ並べたり、箇条書きにしたりする人がいます。文章で解答するようにして下さい。特に、「主部(主語)」と「述部(述語)」が明確に分かる文章を書いてください。問1などは、植物プランクトンの学名が主語になります。それにもかかわらず、「・・・○○貝毒である。」とか「・・・○○物質である。」といった文になっているケースが見受けられました。植物プランクトンは「貝毒」そのものでもなければ、「物質」でもありません。シッカリとした文章を書いてください。

 

2)重量の計算

単なる算数の計算問題ではありません。単位を明確に記載してください。また、計算結果を最後に示すときは「海洋細菌の総重量は○○トンである」、「海洋細菌の総重量はシンゴジラ○○頭分に相当する」というように、ちゃんと文章で説明して解答してください。数値を書きっぱなし、ではダメです。

 

3)文字や数値はていねいに書く

私も悪筆なので他人のことはあまり言えないのですが、ただ、文字や数値の持つ最低限の情報が正確に伝わるように書きましょう。例えば、「0」はゼロ・零という意味が読み手に伝わらなければ意味がありません。「0」の頭のところが切れて「U」になっていたり、「6」のようになっていたり、何が書いてあるのか分からないケースがあります。達筆である必要はありませんが、内容が正確に伝わるように「ていねい」に書くようにしてください。これは皆さんがこれから書くであろう履歴書や就活のためのエントリーシートを作成するときでも同じです。今からでも遅くないので、丁寧に書くことを心がけてください。

 

さて、それでは模範解答です。

問1.

Pseudonitzschia multiseries珪藻類であり、記憶喪失性貝毒ASP: amnestic shellfish poisoning)を引き起こす。これは日本では大きな問題には未だなっていないが、日本の沿岸域にも類縁種が生息する。この記憶喪失を引き起こす原因物質はドーモイ酸と呼ばれるものでアミノ酸の中のグルタミン酸と構造が似ており、記憶伝達物質として働くグルタミン酸にこのドーモイ酸が取って代わるために障害が起こる。

Dinophysis fortii 渦鞭毛藻類であり、下痢性貝毒(DSP: diarrhetic shellfish poisoning)の原因になる。これも日本で問題になっている貝毒の代表格である。原因毒素はオカダ酸ディノフィシストキシンなどで、下痢、嘔吐、腹痛などの消化器系障害を引き起こす。これらの物質は加熱に強く、熱変性しにくい。

Alexandrium catenella渦鞭毛藻類であり、日本で問題になる麻痺性貝毒PSP: paralytic shellfish toxins)の原因藻である。産生する毒素はサキシトキシンゴニオトキシンなどである。その作用機作はフグ毒(テトロドトキシン)とよく似ており、神経細胞膜のナトリウム(Na+)チャンネルブロッカーとして作用し、痺れ、運動障害、呼吸障害などを引き起こす。

 

 

問2.

PARphotosynthetically available(activeでも良い) radiationの省略形。光合成有効放射のこと。波長が約400700 nmの範囲にある可視放射であり、植物プランクトンの光合成に主に利用される波長帯である。

psupractical salinity unitの省略形。電気伝導度を測定して塩分に換算する実用塩分の単位の代わりになる。

テトロドトキシン。フグ毒。ナトリウムチャンネルブロッカーとして作用し、神経伝達を阻害する。

copepods:海産動物プランクトンのカイアシ類のこと。海産甲殻類のなかで最も海洋で優占している。量的に最も多い。

ecosystem:生態系のこと。生態系とはある地域に住むすべての生物とその地域内の非生物的環境をひとまとめにして、主として物質循環やエネルギー流に注目して捉えた機能系のこと。

 

問3.

Coscinodiscus wilessi:大型珪藻類。本藻が赤潮を起こすと、ノリと無機栄養塩の競合的取り込みが起こり、ノリの色落ち現象が起こる。ノリ養殖に甚大な被害を及ぼす。

季節的水温躍層:季節的に海洋や湖沼に形成される深さに伴う水温の減少率が特に大きな層のこと。温帯域の夏季、日射が強くなり海面水温が上昇し、同時に風が弱まるときに海水の鉛直混合がなくなり形成される。上層と下層との熱移動、物質の移動が無くなる。

絶対塩分:海水1 kgに溶解している無機塩の全量(g)を単位‰(パーミル)で表わしたもの。

有光層:植物プランクトンなどの一次生産者が光合成を行って生きていけるだけの光エネルギーが透入している水層のことで、植物プランクトンなどの光合成生物の「光合成>呼吸(酸素供給がプラス)」となるところである。その深さは海氷表面から透入した太陽エネルギーの可視光線の1%が到達する水深までであることが経験的に知られており、清澄な外洋域で水深150 mくらいまでである。

Gambierdiscus toxicus  南方域のサンゴ礁に付着して生息する渦鞭毛藻類である。サンゴ礁に付着して生息するこの渦鞭毛藻類を捕食した草食魚類が毒化し、その草食魚類を捕食した肉食魚類が毒化、その肉食魚類を食した人間が吐き気、下痢、頭痛などの症状を引き起こすというものである。ただし、すべての魚類が毒化するというわけでもない。症状として特徴的なのは温度感覚異常であり、これをドライアイスセンセーションと呼ぶ。ナトリウム(Na+)チャンネルに作用する。

 

問4.

  仝撞曄  H2O   (CH2O  ぁO2  

 

問5.数値だけ示してもダメです。最後まで下線のように正確に記述してください。

海洋細菌1細胞(cell)の重量:2.00×1013 g、海水中の海洋細菌の平均細胞密度:1.00×106 cells/mL。海水の総体積は、1.50×1021

海水1Lに存在する海洋細菌の重量は2.00×1013 ×1.00×109 = 2.00×104 g/

したがって、全海水中に含まれる海洋細菌の重量は、

2.00×104g/L)×1.50×1021(L)=3.00×1017 g)= 3.00×1014 kg

1t=103 kgだから3.00×1014 kg)=3.00×1011 (t)、

有効数字3桁だから、全海水に含まれる海洋細菌の総重量は3.00×1011(t)

シンゴジラが19×104トンだから、3.00×1011(t)÷9×104トン=0.3333×107

シンゴジラ3.33×106頭分に相当する

 

問6.

海面水温の長期変動でもっとも知られているのがエル・ニーニョである。これは元々神の子という意味のスペイン語である。南米のエクアドルからペルーの沿岸域では、北半球の夏季にあたる時期、強い貿易風の影響で表層水がインドネシアの方向へ押しのけられ、その影響により深層の硝酸塩リン酸塩などの栄養塩の豊富な深層の冷水が湧昇する。また南から北上してくるフンボルト海流の影響もあって、赤道付近にもかかわらず表面水温が比較的低く栄養塩の豊富な水域が形成される。この豊富な硝酸塩やリン酸塩と太陽エネルギーを利用して、この水域では植物プランクトンが活発に増殖し、その植物プランクトンを餌にするカタクチイワシが大量に集まり、そのカタクチイワシを捕食するグアノ鳥類が集まる。グアノとはスペイン語で鳥糞という意味であり、このグアノは硝酸塩やリン酸塩などの栄養塩が豊富で畑の肥料として利用されている。ところが北半球の冬季になると貿易風が弱まり、表層の栄養塩が少ない貧栄養な暖水が移動しにくくなり、湧昇が起こらず、植物プランクトンが沿岸域で増殖できず、カタクチイワシが減り、グアノ鳥類も減り、浜は休漁期に入る。この貧栄養な暖水が表層に停滞する気象現象をエル・ニーニョと呼ぶが、これがクリスマスのころに起こるため、「神の子」という意味のエル・ニーニョと呼ばれるようになった。通常、三、四ヶ月(123月)で終わるエル・ニーニョが、4月以降も長引き、漁獲量の減少だけではなく、様々な地域で旱魃や豪雨をもたらすなど異常気象を引き起こすことが判明し、最近ではこの長期間にわたる異常高水温に由来する異常気象現象をエル・ニーニョまたはエル・ニーニョイベント(エル・ニーニョ現象)と呼ぶ。

 

7. 

琵琶湖南湖はリン酸、アンモニア、硝酸が豊富で富栄養化しており、初夏にかけて真核生物の緑藻類が赤潮を起こす。緑藻類の細胞数が増加した結果、アンモニアや硝酸などの窒素源が枯渇する。リン酸も緑藻類は取り込んで利用するが、元々リン酸の濃度が高いため、アンモニアや硝酸などの窒素源が先に枯渇し、リン酸は豊富に残っているという水質状態が形成される。アンモニアや硝酸などの窒素源が枯渇しているため、真核細胞性の植物プランクトンは増殖できない。ここで登場するのが、窒素固定能により大量に存在する窒素ガスN2を直接利用することのできる原核生物のラン藻類アナベナである。このような環境条件の変化に伴う植物プランクトン種の入れ替わりを遷移successionと呼ぶ。窒素固定を行うためにはニトロゲナーゼという酵素の働きが必要だが、この酵素は酸素に触れると不可逆的に失活する。酸素発生型の光合成を行うアナベナ属は、連鎖した細胞に等間隔で窒素固定を専門に行うヘテロシストという異形細胞を形成する。このヘテロシストでは光合成回路の一部が消失しており、光合成による酸素発生がなく、ニトロゲナーゼに都合の良い嫌気状態が保たれるのである。

 

以上です。シッカリと復習しておいてください。

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    世界中の海洋細菌の総重量は?

    海洋生態系科学の海洋細菌重量の計算に関する解説です(江口)

     

    1)海洋細菌1細胞(cell)の湿重量を250 fg(フェムトグラム)、海水1 mL(ミリリットル)に海洋細菌が1×10細胞存在するとすると地球上に存在する海洋細菌の総重量は何Mt(メガトン)ですか?ただし、海洋の平均水深を3800 m、海洋の総表面積を3.61×108 km2とします。

    答えは有効数字を4桁とし、5桁目を四捨五入して解答下さい。

    計算のプロセス(単位を換算して揃える過程等々)が分かるように明確に示してください。

    海洋細菌1細胞当たりの重量をグラムで表すと 

    250 fg= 250 × 10-15 g=2.50 × 10-13 g/cell・・・・

    海水の総体積は 3.61  108 km2 × 3.8 km = 1.3718 × 109 km3・・・・・・・・ 

    ここで1 km3 = (103m)3 = 109 m3 = 109 × (102 cm)3 = 109 × 106 cm3 =1015 cm3・・・

    △鉢から海水の総体積は 1.3718 × 109 km3= 1.3718 × 1024 cm3 (=mL)・・・・・

    海水1 mLに海洋細菌が1×10細胞存在するのだから、,鉢いら海洋細菌の総重量は、

    ×1×106×い乃瓩瓩蕕譟 

    2.50 X 10-13 (g/cell)×1×106 (cells/mL)×1.3718 × 1024 (mL)=3.4295×1017 (g)・・・

    1 Mt = 106 t = 106×103 kg = 1012 g ・・・・・・・・・・・

    イ鉢Δら海洋細菌の総重量は、3.4295×105 Mtになる。有効数字4桁で5桁目を四捨五入なので、海洋細菌の総重量は3.430×105 Mtとなる。   答え:3.430×105 Mt

     

    2)地球上の人間の平均体重を60kgとしたときの、地球上の全人間の総重量は何Mtですか?諸君が小学生のころに覚えた世界の人口ではなく、最新の世界の人口の情報を調べて計算してください。計算のプロセス(単位を換算して揃える過程など)は明確に示してください。有効数字は4桁とし、5桁目を四捨五入して下さい。

    世界の人口は732540万人なので7.3254×109人・・・・・

    世界の人間の総重量は、7.3254×109人×60 kg/人=4.3947×1011 kg

    1 Mt = 109 kgだから、世界の人間の総重量は、4.3947×102 Mt

    答え:4.395×102 Mt

     

    従って、地球上に存在する海洋細菌の総重量は人間全体よりも約780倍も重いことになります。目に見えない海洋細菌が莫大な量存在するんです。ただし、厳密には表層海水から深層、沿岸域から外洋域に行くに従い海洋細菌の存在量は減りますので、実際にはもう少し差は小さくなります。(江口)

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      海洋生態系科学 MP#7〜14の解説

      海洋生態系科学の10ミニッツ・ペーパー#7〜14の解説を一気に掲載します。シッカリと復習をしておいてください。

      海洋生態系科学 minutes paper #7             

       水温の長期的変動

       海面水温の長期的変動でもっとも知られているのはエル・ニーニョである。これは元々「神の(男の)子」という意味のスペイン語である。南米のエクアドルからペルーの沿岸域では、北半球の夏季にあたる時期、強い貿易風の影響で表層水がインドネシアの方向へ押しのけられ、その影響により深層の栄養塩の豊富な冷水が湧昇し、またペルー(フンボルト)海流の影響もあって赤道付近にもかかわらず表面水温が低く栄養塩が豊富な水域を形成する。エクアドルからペルーの沿岸域では、この豊富な栄養塩(リン酸塩PO43-硝酸塩NO3-など)と太陽エネルギーを利用して植物プランクトンが増殖し、そのプランクトンを餌にするアンチョビー(カタクチイワシ)が大量に集まり、そのアンチョビーを餌にするグアノ鳥類が集まる。グアノ鳥類とはスペイン語で鳥糞という意味であり、このグアノ鳥類の糞はリン酸塩や硝酸塩が豊富で畑の肥料として利用されている。ところが北半球の冬季(12〜3月ごろ)になると貿易風が弱まり、表層の栄養塩が少ない(貧栄養な)暖水が移動しにくくなるため、栄養塩の豊富な深層の冷水が湧昇しない。その結果、植物プランクトンが沿岸域で増殖できず、植物プランクトンが減り、グアノ鳥類も減る。これがエル・ニーニョである。「神の子」と呼ばれたのは、赤道反流による暖水の南下が毎年クリスマスのころに始まること、北からの流れに乗って日ごろ見かけない魚が回遊したりすること、折からの降雨によりバナナやココナツが収穫期に入ることなどによる。天の恵みに対する感謝の気持ちや自然に対する畏敬の念が人々の根底にあり、「神の子」と呼ばせたのである。これは生態系サービスへの感謝の気持ちの表れでもある。

       その後の大規模な海洋観測の結果、このエル・ニーニョはエクアドルやペルー沿岸域に限られた局所的な現象ではないことが判明した。さらに210年の周期で、通常であればクリスマスのころから三ヶ月程度で終わるエル・ニーニョが、4月以降も長引き、漁獲量の減少だけではなく、様々な地域で旱魃(かんばつ)や豪雨をもたらすなどの異常気象を引き起こすことが判明し、最近ではこの異常気象現象を古来のエル・ニーニョと区別してエルニーニョ現象(エルニーニョ・イベント)と呼ぶようになった。エルニーニョ現象は太平洋をはさんで西と東で気圧がシーソーのように変動する南方振動と連動していることも明らかになり、この大気と海洋の大規模な相互作用のことをENSOとも呼ぶ。また、ペルー・エクアドルの沿岸から東太平洋の赤道付近で海水温度が平年より低下する現象(太平洋をはさんでエクアドルやペルーの対岸になるインドネシア沖に通常以上に暖水が溜まる現象)のことを、スペイン語で「神の女の子」を意味するラ・ニーニャLa Nina(nの上に波線が必要)と呼ぶこともあるが、これは1990年代に入ってから海洋学者が名づけたものである。また、ある海洋気象学者は、エル・ニーニョもラ・ニーニャも何も起こらない状況をラ・ナダLa Nadaと名付けたが、これはアホらしくて誰も使っていない。

       

      海洋生態系科学 minutes paper8        

      海洋の平均水深は38003795など36003900は正解)mである。光合成による一次生産が行われ、生産層とも呼ばれている有光層は、外洋でも水深150 200 m程度までである。海洋の植物プランクトンは、太陽エネルギーが利用できる有光層に留まらなければ、光合成が出来ない。

      有光層に留まるために植物プランクトンがとったと考えられる最大の進化上の適応戦略は、細胞サイズを小さくすることである。大きな体では重力により沈降してしまうのである。球体で考えると、サイズ(半径)が小さくなると表面積:体積(表面積と体積、表面積/体積)比が大きくなる。表面積/体積比が大きくなると摩擦抵抗が大きくなり、沈降し難くなる。また、イオン調節により細胞内のイオン濃度を低くしたりもしている。これは生物側の適応進化というわけではないが、自然条件の水の流れである乱流も細胞サイズの小さな植物プランクトンが有光層に留まるのにプラスに働いている。

      細胞サイズが小さくなると捕食され易くなるので、それを補うように速く増殖することになる。細胞サイズが小さいと1つの個体を作り出すのに要するエネルギー量も少なくて済むため、速い増殖が可能になるのである。

      海洋学や環境学では、底質などの粒子のサイズが63(62) μmより大きい画分(かくぶん)を砂質と呼び、それより小さいサイズ画分を泥質と呼ぶ。砂質や泥質という使い分けが明確であれば、野外調査する干潟などの状態を科学的に表現して、他人に伝えるのに有効になる。

      ところで、

      光合成と呼吸の関係を式で示すと次のようになる。

                光合成(→:光(太陽光)エネルギーが必要)

       CO2   +  H2O →  (CH2O) カッコがないと× +  O2 

      二酸化炭素       水           炭水化物           酸素

                呼 吸 (←:代謝エネルギーが必要)

       

      海洋生態系科学minutes paper #9           

      -1. 珪藻類

      植物プランクトンには多種多様な種類がある。その代表的なものは珪酸(シリカ) SiO32-でできた被殻を有する珪藻()(日本語)、英語ではdiatom(s) である。珪藻は単細胞性だが群体を形成することもある。珪藻は約1億年前に地球上に出現した。海水中で死滅した珪藻の珪酸でできた被殻は、地質学的年月を経て海底に降り積もり、珪質軟泥を形成している。珪藻は大きく2つのグループに分けられる。ひとつは 羽状類 で、その大半が底生性である。もうひとつは、ほとんどが浮遊性の中心類 である。浮遊性の珪藻は運動器官がないので自ら動けない。

      珪藻は好適な環境では単純な無性生殖を繰り返して速やかに増殖する。マクドナルドとピッツァ(MacDonald-Pfitzer) の仮説では、無性生殖を繰り返すと細胞サイズが小型化し、ある最小サイズになると珪酸(質)の骨格を失い、有性生殖を行い接合子を形成し、大きく膨れた増大胞子になり、増大成長して被殻の形とサイズが元に戻るとしている。ただし、この仮説については、反論があり、定説にはなっていない

      浅海域に生息する沿岸種では、環境条件が悪化すると休眠胞子であるシストcystを形成する。休眠胞子のシストは細胞質が濃縮され堅い殻を被っていて重いので、海底に沈降して休眠し、環境条件が整うと通常細胞に戻る。

       

      海洋生態系科学minutes paper #10           

      -. 渦鞭毛藻類

      植物プランクトンには多種多様な種類がある。その代表的なものは先に説明した珪藻類と渦鞭毛藻類 である。渦鞭毛藻類を英語で表記するとdinoflagellate(s)となる。渦鞭毛藻類の特徴は、単細胞性で単独で生活するものが多い、2の鞭毛を持つ、運動能力がある、主に太陽エネルギーを利用する(光合成)独立栄養性の植物プランクトンだが、中には夜光虫のような(化学合成)従属栄養性の動物プランクトンも存在する。太陽エネルギーが利用可能ならば光合成独立栄養性で生活し、それができないときは従属栄養性で生活するものも中には存在する。その様なものを混合栄養性と呼ぶ。

      渦鞭毛藻類も珪藻類と同じように環境条件が良いときは無性生殖で増殖する(親細胞と全く同じ細胞のコピーを量産)が、環境条件が悪化してくると有性生殖を行う。遺伝子型の異なる2つの栄養細胞が細胞融合(英語ではcell fusionし、異なる2組の遺伝子セット(2N)を持った接合子(zygoteを形成した後、海底に沈降して休息状態に入る。この休眠胞子シストcystと呼ぶ。シストでは2セットの遺伝子の組み換えが起こり、新しい遺伝子セット(N)を持った栄養細胞が発芽し、再び増殖する。

       

      海洋生態系科学 10 minutes paper 11      

      供タ∧プランクトン  phytoplankton    (植物プランクトンを英語で書く)

      植物プランクトンは多種多様であるが、代表的なものは渦鞭毛藻類 dinoflagellates珪藻類 diatomsである。渦鞭毛藻類は単細胞藻類で2本の鞭毛を持ち、運動能力がある。珪藻類は運動能力がない。渦鞭毛藻類は光合成独立栄養性のものが多いが、同じ仲間には化学合成従属栄養性 のものもあり、さらに光合成独立栄養性と化学合成従属栄養性の両方の性質を持ち合わせた混合栄養性のものもある。珪藻類は光合成独立栄養性である。

      供檻粥

      真核生物(真核細胞性) である渦鞭毛藻類や珪藻類と根本的に異なる原核生物(原核細胞性)の酸素発生型光合成を行う植物プランクトンがシアノバクテリアcyanobacteria ラン藻類である。シアノバクテリアも多種多様であるが、代表的なものとして大型のオシラトリア(属)がある。オシラトリア属は熱帯外洋域での一次生産者として重要な位置を占め、鎖状に連結し細長い糸状になり、さらに糸が寄り集まって幅数ミリメートルの肉眼でも見える糸束を形成する。オシラトリアは大気中の窒素ガスN2を直接窒素源として利用することができる。このような能力を窒素固定(能、能力)といい、すべての生物のなかで原核生物の一部だけが持つ能力である。

      琵琶湖南湖(平均水深約3 m)は栄養塩のリン酸態リン(PO43-)やアンモニア態窒素(NH4+)や硝酸態窒素(NO3-)が豊富で富栄養化している。ここでは初夏にかけて真核生物の緑藻類などがブルーム(赤潮)を起こす。その結果、真核細胞性の植物プランクトンが窒素源を消費し尽くしてしまい、リン源はあるが窒素源が不足した水質状態になる。窒素源が枯渇した8月ごろからオシラトリア属とよく似た糸状の連鎖細胞を形成するアナベナ属が優占する。これはアナベナ属が窒素固定をできるからであり、このときアナベナは連鎖した細胞に等間隔で窒素固定を専門に行うヘテロシストheterocystという異形細胞を形成している。ヘテロシストでは光合成回路の一部(光合成反応中心供砲消失しており、光合成による酸素の発生がない。これは、窒素固定を行うためにはニトロゲナーゼnitrogenase という酵素が必要であり、ニトロゲナーゼは酸素O2により不可逆的に失活するからである。

      シアノバクテリアの仲間で海洋によく見られるのはオシラトリア属のほかに、細胞サイズが極めて小さいピコプランクトンの仲間のシネココッカス属Synechococcus sp.が存在する。シネココッカス属は熱帯や温帯の沿岸域や外洋域に幅広く生息しており、109 cells/Lに達することもある(赤潮状態)。シネココッカス属は琵琶湖北湖にも存在する。また、シネココッカス属と同じ微小な原核性の植物プランクトンで、最近研究が進んでいるのは 原核緑藻(類) である。原核緑藻もピコプランクトンの仲間であり、特に、外洋域の水深100200 mの光が少なく他の植物プランクトンが生息し辛い状況では、シネココッカスとともに主要な一次生産者 基礎生産者 となる。

      シネココッカスと原核緑藻の違いは保持する光合成色素の違いにある。シネココッカスはクロロフィルaフィコビリン (フィコシアニン・フィコエリトリン)を持ち、原核緑藻はクロロフィルa クロロフィルb  を持つがフィコビリンを欠く。クロロフィルbは高等植物や緑藻類が保持する色素である。原核緑藻はクロロフィルbを持つことから原核性のシアノバクテリアから真核性の緑藻へ進化する途中の生物ではないか、という説もある。

       

      海洋生態系科学 #12   

      6.植物プランクトンによる赤潮

      赤潮の発生状況

      赤潮自体の発生は古代エジプトのころから記録されており、決して最近の自然現象ではない。しかし、わが国で赤潮による被害が沿岸域で顕著になったのは、19601970年代の高度経済成長期である。産業の発展に伴い、過剰の産業排水や生活排水が海に流れ込んだ結果、水質が加速度的に悪化し、沿岸域の

      富栄養化eutrophicationが進行した。天然海水中には通常、様々な植物プランクトンが混在しているが、富栄養化のために単一種が選択的に異常増殖し集積した結果、肉眼でも海色の変化が確認できるようになる。これが赤潮である。瀬戸内海域では急速な富栄養化の進行に歯止めをかけるため1973年に瀬戸内海環境保全臨時措置法という排水規制に関する法律が制定された。これにより、赤潮の発生はやや抑制されたが、相変わらず現在でも発生している。

      ちなみに、富栄養化はNH4+NO3等の窒素源、PO43のリン源といった、無機栄養塩の増加現象であり、無機栄養塩を直接取り込み、光合成を行う植物プランクトンへの影響が大きい。

      ここで話はこの講義の最初にもどる。生態系を英語で書くとecosystemである。生態系とは、ある地域(空間)に住むすべての生物と、その地域内の非生物的環境をひとまとめにして、主として物質循環やエネルギー流に注目して機能系として捉えたものである。生態系を構成するのは、光合成を行う植物プランクトンのような生産者(一次生産者や基礎生産者)、それを捕食する動物プランクトンや魚のような消費者、死滅した動・植物等を分解する細菌のような分解者、そして光、温度、無機栄養塩のような非生物的環境である。

      富栄養化が進行するということは、生態系で物質循環の不均衡が生じたことを意味しており、赤潮はその結果として発生する。

      ところで、海の平均水深は約3800 mである。水域の有機物の動向という観

      から見ると「光合成(一次生産)>呼吸(消費)」という関係が保たれる水層を有光層(基礎生産層、生産層、一次生産層)と呼び、外洋の海水のきれいな水域で大体海面から水深150200 mまでである。

       

      海洋生態系科学   10 minutes paper13    

      <有毒プランクトン赤潮のまとめ>

      牡蠣などの二枚貝類の多くの摂食形態がろ過捕食である。夏季など水域で単一の植物プランクトンが赤潮を形成すると、二枚貝はその植物プランクトンを大量に摂食することになる。その結果、脊椎動物の肝臓や膵臓に相当する肝膵臓とも呼ばれる中腸腺に有毒プランクトンが作り出す毒性物質が蓄積される。PSPとも言う麻痺性貝毒(日本語)は、日本で問題になる貝毒のひとつであり、渦鞭毛藻類 Alexandrium catenellaなどが原因藻となる。痺れ、運動障害、呼吸障害などを引き起こす。その作用機作はフグ毒のテトロドトキシンとよく似ており、神経細胞膜のナトリウムチャンネルブロッカーとして作用する。原因物質はサキシトキシンゴニオトキオシンなどである。DSPという下痢性貝毒 (日本語)も日本で問題になっている貝毒の代表格である。渦鞭毛藻類Dinophysis fortiiなどが原因藻。小腸上皮細胞のナトリウム塩の分泌調節や溶質の透過性に作用し、下痢、嘔吐、腹痛などの消化器系障害を引き起こす。原因物質はオカダ酸ディノフィシストキシン などで、これらの物質は加熱に強く熱変性しにくいため、毒化した貝を加熱しても食中毒を起こす。

      日本では未だ大きな問題になっていないが、ASPという記憶喪失性貝毒(日本語)がある。珪藻類 Pseudonitzschia multiseriesが原因藻類。この記憶喪失を引き起こす原因物質はドーモイ酸 と呼ばれるものでアミノ酸のグルタミン酸と化学構造が似ており、記憶伝達物質として働くグルタミン酸にこのドーモイ酸が取って代わるために障害が起こる。

      南方域のサンゴ礁に付着して生息する渦鞭毛藻類Gambierdiscus toxicusなどが原因で起こるものにCFPというシガテラ毒がある。サンゴ礁に付着して生息するこの渦鞭毛藻類を摂食した草食魚類が毒化し、その草食魚類を捕食した肉食魚類が毒化、その肉食魚類を食した人間が吐き気、下痢、頭痛などの症状を引き起こす。ただし、すべての魚類が毒化するというわけでもない。神経細胞膜のNa+チャンネルに作用し、神経伝達に異常を起こす。症状として特徴的なのは温度感覚異常であり、これをドライアイスセンセーション と呼ぶ。

      水域で大量に発生して問題になるのは、ミクロキスティスMicrocystisやアナベナ(Anabaena)属などに代表される原核生物シアノバクテリア(ラン藻類)である。この淡水性のシアノバクテリア赤潮状態を「アオコ」と呼ぶ。水道水からカビ臭がすることがある。これは水源地の湖沼で原因となるシアノバクテリアが異常増殖し、カビ臭物質(ジオスミンなど)を産生するからである。日本では未だ大きな被害は出ていないが、強い肝臓毒性を示すミクロシ(キ)スティンなどを産生するミクロキスティス属が異常増殖し、その池の水を飲んだ家畜が大量死するケースも海外では報告されている。

       

      海洋生態系科学   10 minutes paper14    

      <動物プランクトン>

      動物プランクトンは生態系における消費者の代表格といえる。分類学的にも体構造的にも極めて多様である。栄養的分類では動物プランクトンのすべてが従属栄養性であるが、エネルギー獲得形式の違いにより植(草)食性、肉食性、デトリタス食性、雑食性に分けられる。大半は雑食性である。

      動物プランクトンは全生涯を水柱で浮遊して過ごす終生プランクトンと、一生のある時期だけ浮遊生活をする一時プランクトンに分かれる。終生プランクトンの代表的なものには、渦鞭毛虫類(=渦鞭毛藻類)のような原生動物がある。渦鞭毛虫類は単細胞性の動物である。この原生動物の仲間には微生物ループで重要な存在となる従属栄養性微小鞭毛虫類(日本語)がおり、従属栄養性微小鞭毛虫類は浮遊細菌を捕食する。その他に原生動物の仲間には有孔虫類、放散虫類、そして白点病の原因微生物のような繊毛虫類が存在する。

       海産甲殻類の中で最も海洋で優占しているのはカイアシ類copepodsであり、大きさは6 mm以下であるが、稀に10 mmを越えるサイズのものもいる。遊泳肢と口器附属肢で水流を起こし、その水流に乗って運ばれてくる植物プランクトン(主に珪藻類)や小型の動物プランクトンを捕食する。雌雄異体である。

       オキアミ類も重要な解散甲殻類である。オキアミ類の仲間のEuphausia superbaは南極オキアミの学名である。南極オキアミは南極海生態系の多くの大型動物の主要な食糧源である。

       肉食性動物プランクトンの代表格として毛顎動物のヤムシ類がいる。これは体長4 cmにもなる大型の動物プランクトンである。テトロドトキシン(フグ毒)を持つ。

       

      以上です。何か質問等あれば研究室まで来てください。(江口)

       

       

       

       

       

       

       

       

       

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        2017年度 博物館資料保存論 (江口)

        2017年度 博物館資料保存論の第1・2回のレポート試験の模範解答を掲載しますので、皆さん、シッカリと復習をしておいてください。

         

        博物館資料保存論 第1回目 模範解答

        1.

        1)文化財保護法制定の契機となった大きな出来事は、1949126日に起こった法隆寺金堂壁画の焼損である。この文化財保護法は、戦前に制定された国宝保存法、史蹟名勝天然記念物保存法、重要美術品等ノ保存ニ関スル法律、の三つの法律を発展的に統廃合したものである。

        22004年改訂の国際博物館会議(ICOM)職業倫理規定では、文化財の返還に関する事項を次のように示している。

         6.2:博物館は文化財をその原産国またはその国民に返還するための話し合いを開始する態勢を整えているべきである。このことは、科学的、専門的また人道的な原則と、適用される地方・国の法、および国際法に基づき、政府もしくは政治レベルの行動に優先して、公平に行われるべきである。

        2.

        1経年変化:年月が経つうちに品質・性能が低下すること。

        2温湿度データロガー:温度と湿度を連続的に測定し、そのデータを記録保存する装置。

        3クリモグラフ:湿球温度(単に温度でも良い)を縦軸、相対湿度を横軸にとって各月の平均値を月順に線で結んだ図。

        4パッシブコントロール:受動(的)制御。博物館等についていえば、自然エネルギー、自然の力を生かして空調などを行うこと。

         

        博物館資料保存論 第2回目 模範解答

        1.

        1)「文化財保護法」

          第1条 この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。

        2)「文化財公開施設の計画に関する指針」<平成78月文化庁文化財保護部長通知>では、収蔵庫の設計に関する留意事項を次のように示している。

        ・収蔵庫の床面積は、展示室の床面積の半分を目安とするが、将来を見越して十分なスペースをとることが望ましい。

        ・収蔵庫には必ず前室の機能を果たす十分なスペースを確保し、庫外の影響が庫内に直接及ばないようにする。

        ・収蔵庫の外壁が外部と面する場合、結露などの点検のために、外壁と接する二重壁には室内側から点検口を設け、二重壁の間に点検用の空間を確保する。

        2.

        1)壬申検査:明治のはじめに古器旧物の保存と海外流出防止のために社寺や華族の所蔵する古器旧物に対して本格的に行われた実地調査。行った年の干支から壬申調査と呼ぶ。

        2)アスマン通風乾湿計:乾球と湿球に風速2.5 m/s以上の風をあてて、その温度差から換算して相対湿度を測定する計測器。

        4VOCVolatile organic compoundsのことで日本語は揮発性有機化合物。トルエン、キシレン、ホルムアルデヒドなど。

        5)免震装置:地震の揺れを文化財などに直接伝えないようにする装置。例えば、建物と地震の縁を切るアイソレーターと振動エネルギーを吸収する働きをするダンパーを組み合わせたものなど。

        7)ジオパーク:「地球、大地(Geo)」と「公園(Park)を組み合わせた言葉であり、「地球・大地の公園」を意味し、地球を学び、丸ごと楽しむことが出来る場所。地球科学的な価値を持つ遺産を保全し、教育やツーリズムに活用しながら持続可能な開発を進める地域認定プログラム。

         

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          海洋生態系科学のMPの解説です。1回目から一気に参ります(江口)。

          遅くなりました。海洋生態系科学の解説です。MPの#1から#6まで、とりあえず、一気に参りたいと思います。忙しくってサボっておりました。スンマセンでした。では、まいります。あ、そうそう。シッカリと読んで復習してもらうために,箸い辰身峭罎漏阿靴討△蠅泙后

          #1<はじめに>

           海洋生態系科学の海洋がmarine、科学は英語でscience生態系を英語で書くと ecosystemである。生態系とは「ある地域に住むすべての生物とその地域内の非生物的環境をひとまとめにし、主として物質循環やエネルギー流に注目して捉えた機能系」である。生態系は生産者消費者分解者非生物的環境の4つの部分から構成されている。海洋生態系科学は「海洋生態系の物質循環・エネルギー流・環境・生物の相互関係を究明する学問分野」である。

          生態系の環境の状態を決定する生物学的要因の主体は、その環境に最も多量に存在する生物であり、通常は微生物である。

           生態学を英語でecologyと書くが、生態学自体は比較的新しい学問である。生態学の開祖といえるE. P. Odumの定義では、生態学=生態系ないし自然の構造に関する科学、ということになる。ちなみに、個々の生物をピックアップして、その生物の生態系での行動特性を調べる学問も、生態学のひとつである(例えば、魚類生態学や微生物生態学など)。

           ところで、全く話は変わるが、海の平均水深は3800である。水産学科の学生であれば、これは常識として知っておこう。他人に聞いたり、他人の解答を見たりしてはいけませんよ。

           

          #2<海洋環境>

          機コね隆超

           海洋環境は鉛直的に水柱環境底生環境に分けられる。水柱環境は海表面から最大水深までの空間のことであり、底生環境は水底環境のことである。水柱に存在する生物は、「水の流れに逆らって自らの位置を保つことが出来ない」浮遊生物のプランクトンplanktonと「自身の位置を保ち水の流れに逆らって動くことのできる」ネクトン(日本語)nekton(英語)に分けられる。一般的に浮遊生物(プランクトン)は非常に小さく、多くは顕微鏡的大きさで(微生物)あるが、クラゲのように比較的大型の動物もプランクトンの仲間である。底生環境で匍匐(ほふく)・穿孔(せんこう)・固着生活をおくる生物をベントスと呼ぶ。

           プランクトンはその生物学的特性から4つのグループに分けることができる。すなわち、bacterioplankton(バクテリオプランクトン)phytoplankton(植物プランクトン)zooplankton(動物プランクトン)、そしてウイルスプランクトンvirioplankton である(英語で記入すること)。プランクトンの中にも遊泳力を持つものがいるが、その遊泳力は水の流れに比べると極めて弱い。ただ、プランクトンとネクトンとの区別は厳密ではない。例えば、遊泳能力の低い段階の稚魚などもプランクトンの仲間に入れられるし、動物プランクトンのオキアミを小型遊泳動物として扱うこともある。

           海と大気との境界面に生息する生物群もいる。これらを水表生物neustonという。海アメンボなどの水面に浮いているものepineuston、カツオノエボシのように大気に出た部分と水中に没した部分をもつもpleuston、流れ藻のように水深数cmに生息するものをhyponeustonという。

           

          #3<海洋環境の非生物的特性:光>

          -2.海洋環境の非生物的特性     

          -2-1.日射 

           海中へ透過する光には少なくとも3つの働きがある。ひとつは植物プランクトンの光合成 のためのエネルギー、2つ目は水分子への吸収、3つ目はネクトンの視覚への影響である。光合成は海洋における無機物から有機物への変換 過程を担い、生態系において極めて重要なプロセスになる。地球上の植物が光合成で固定する炭素の純生産量は年間約750億Cトン。そのうちの30〜50%を海洋の植物プランクトンが生産している。植物の量は陸上が海洋の約100倍なので、炭素の回転率は海洋が陸上の約100倍ということになる。

           海洋で植物プランクトンや海藻などが光合成で生きていけるだけの光エネルギーが透入している部分のことを有光層という。有光層は光合成層または一次生産層とも呼ばれる。有光層の深さは、海の表面から透入した太陽エネルギーの可視放射の約1%が到達する水深までであることが経験的に知られている。清んだ外洋域の場合、有光層は水深が約200mである。光合成の化学反応を式で表すと次のようになる。

                                   光エネルギー   

                      ↓

          CO2  + H2O   ⇒     (CH2O)     O2  

           

          #4<光の続き>

          -2.海洋環境の非生物的特性     

           光の単位:海中へ透過する日射の一部は光合成を通して植物に吸収され、このエネルギーを用いて無機物から有機物への変換が行われる。海洋生態系も陸上生態系と同様に、日光が生態系全体の駆動力になっているのである。光には波動と粒子としての性質があり、光の粒子を光量子といい、単位はモル molを使う。真夏の直射日光は大体2000 μmolm-2s-1である。エネルギー量として光量を表すときは仕事率を表す W ワット という単位を用いる。

           光の変化:日射の24時間変化のことを日周変化といい、曇天などによる日中変化のことを昼間変化という。日射量の変化は太陽の入射角度・日長・気象条件で異なり、その差異は植物プランクトンの光合成に差異を生じさせる大きな要因である。日射量の変化は太陽の入射角度で決まり、季節変化は高緯度域で顕著になり、赤道付近では季節変化が少ない。

           海中の放射:海中を透過する日光の約50%は波長が780 nmよりも長い赤外放射(線)であり、数%は波長が380 nmよりも短い紫外放射(線)である。残りの50%弱が波長400700 nm可視放射(可視光線)であり、光合成に利用できる光放射(光合成有効放射)ということからPARと呼び、英語でphotosynthetically available radiation となる。PARAavailableでもactiveでも良い。光が水を透過すると散乱・吸収される。赤外放射は表層数メートルで吸収されてそのエネルギーは熱 に変換される。紫外放射は全日射のごく一部で、かなり澄んだ海域を除いて直ちに散乱・吸収される。波長400700 nmの可視光線でも波長が異なれば透過深度も異なる。約650 nm赤色光は吸収されやすく、とても澄んだ海水でも10 mで1%しか透過しない。波長が約450 nm青色光が最も深くまで透過し、澄んだ海水で150200mまでその1%が透過する。ただし、水中に懸濁物がある場合、光は散乱を受けて、最も深くまで透過する波長は緑色側へ変移する。

           

          #5<続いては水温>

          2 海洋環境の非生物的特性

          22 温度

          3)水温の鉛直分布

           太陽エネルギーに起因する熱は、風や波が起こす乱流混合により、海面から下層へ熱が移動する。乱流は流体の流速や圧力などが不規則に変動する流れのことである。乱流と逆に、液体の各部分が互いに混ざり合うことなく流れる状態を層流と呼ぶ。乱流では、粘性力と慣性力の比で表わされるレイノルズ数が大きくなる。レイノルズ数が小さい流れでは、粘性による減衰効果が大きいため、流れは安定であり、逆にレイノルズ数が大きい流れは、一般に不安定で乱流になる。例えば、水道の蛇口から出る水は、蛇口を絞って流れが少ないときにはまっすぐに落ちる(層流)が、少し多くひねると急に乱れ出す(乱流)。

           低・中緯度域では、水面から数m〜10数mの深さで均一温度に混合される。これを、表面混合層と呼ぶ。混合層の下(外洋では水深200300 m)から水深1000 mまでは、水温が急に低下する。これを永年水温躍層(permanent thermocline)と呼ぶ。なお、緯度に関わらず水深が20003000 mになると、水温が4 ℃を超えることはない。温度だけではなく、温かく低密度(軽い)の表層水から、冷たく高密度の深層水へ変化する水深帯を密度躍層または躍層という。

           温帯域で夏季の表層には、季節的水温躍層seasonal thermoclineが形成される。これは、日射が強くなり海面水温が上昇し、同時に風が弱まるときに形成され、このときは、乱流による下層への熱移動がない。秋季から冬季にかけて、海面が冷却され、風が強くなり、乱流が発生して、鉛直混合が起こると、季節的水温躍層が崩壊する。夏季であっても、台風などによっても躍層は崩壊する。

           

          #6<塩分。塩分濃度ではない!>  塩分濃度という言葉はマチガイ!「分」にはすでに「割合」という意味があるのです。ウィキペディアなどでも大手を振って塩分濃度として解説されています。しかし、あれは日本語として間違っています。缶ビールにアルコール分5.0%などと表記していますが、アルコール分濃度5.5%とは表記しないでしょ?それと同じですね。但し、ここまで徹底的に間違える人が増えてくると、塩分濃度も市民権を得てきた感はあります。しかし、やはり間違いは間違いですから、少なくとも私の講義では使わないようにしてください。なお、ウィキペディアは便利ですから色々と調べるのに使うのは良いと思います。参考にしても構いませんが、ウィキペディアは責任著者が明確ではないものですから、論文等の正式な文書の参考文献とはなりません。注意してください。さて、

          23 塩分

          塩分

          ・塩分を英語で表記するとsalinityである。one piece 62巻でナミが,里海箸髻岷分濃度」と言っているが、あれは海洋学的には間違い。塩分の「分」にはすでに割合という意味がある・・残念!

          ・海水1 kgに溶解している無機塩の全量(グラム数)を、単位‰(パーミル、プロミル、千分率)で表わしたものを絶対塩分という。

           塩分の主要元素はイオンの形で存在する。最も多いのは、ナトリウムイオン Na+塩化物イオンCl-である。海水の主要な無機塩は 80以上あり、微量無機塩は60以上ある。それらをすべて測定することは不可能である。

           そこで、海水の電気伝導度が無機塩(イオン量)に概ね対応することから、海洋観測では電気伝導度の測定値から塩分を算出する。これを絶対塩分に対して、実用塩分という。実用塩分に単位はないが、最近ではpsuを単位のように表記することが多い。psuというのは英語のpractical salinity unitの省略形である。

           蒸発するのは水H2Oだけなので、蒸発により水位が下がると真水を補給すべきである。海水を蒸発の都度加えていくと、塩分が飽和してしまい(室温で飽和NaCl水は塩分約30%、海水は3%(重量/体積パーセント)程度)、異常な高さの浸透圧に耐えられなくなったんですなぁ・・・。可愛そうに。

           

           

           

           

           

           

           

           

           

           

           

           

           

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            水質学の模範解答の解説(江口)

            水質学のまとめをしておきます。

             

            問1.BOD:Biochemical Oxygen Demand。日本語:生物化学的(または生化学的)酸素要求(消費)量。生化学的でも構わないのですが、生物化学的のほうが良いように思います。   

            測定原理:試料水中に存在する有機物が、微生物(主に細菌)によって好気的な条件下で呼吸・分解される間に消費する溶存酸素量(DO)のこと反応液(試料水)は密閉容器中で一定期間(一般には5日間)、一定温度(20℃)で保たれ、その前後のDOの差で示す。

            2)暗所で培養する理由は、試料水で光合成が起こらないようにするためである。光合成が起こると酸素が発生するので、呼吸で消費される酸素量が分らなくなる。

            3)有機汚濁の指標のCODは化学的酸素要求(消費)量 

            4) 。検    ´◆。粥                         2点)

            5)昭和45年に施行された「水質汚濁防止法の法的な整備」、さらに一番大きな要因は周辺地域の「下水道の完備」であろう。加えて、周辺住民の意識の変革もあるかもしれない。

            2. 外洋域の有光層は通常水深150 m辺りである。この有光層で植物プランクトンによる一次生産(光合成)が起こる。植物プランクトンが光合成を行い、生物体量を増加させる際にリン源となる栄養塩としてPO43−を水中から取り込む。その結果、活発に光合成が行われる有光層(0150 m水深)ではPO43−量が低下する。

            問3.

            _樵杰

            virtual water。食料を生産するのに必要な水の量のことである。例えば、牛肉1 kgを生産するためには、その飼料の生産から考えると20 tの水が必要になる。日本の場合、他国の水を年間640億トン使用しているという試算結果がある。

            栄養塩類

            主に植物プランクトンや海藻が必要とする無機塩類のことで、リン酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩。ケイ酸塩などの化学形態で海水中に溶存する。水域にこれらの栄養塩類が過剰に増えることを富栄養化という。

            TBT

            環境ホルモンの一種。トリブチルスズ(有機スズ化合物)。雌の雄化作用をもつ。付着防止剤として船底塗料などに混ぜられている。

            ぃ庁庁

            有機塩素系殺虫剤で農薬として使用されてきた。化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)に似ており、天然環境では環境ホルモン(内分泌撹乱物質)としてエストロゲン様の作用を示す。日本でも戦後大量に使用されたが現在では使用が禁止されている。

            タ綮才竸經霆

            日本水産資源保護協会が水産の生産基盤として水域の望ましい水質を示したもの。

            ΕΕぅ鵐ラー法

            溶存酸素量の化学的な定量法。試料水に硫酸マンガンMnSO4溶液と水酸化ナトリウムNaOH溶液を加えると、水酸化マンガン(供Mn(OH)2が生成する。その水酸化マンガンが水中の酸素と反応して、溶存酸素に対応する量だけ酸化される。

            microplastic

            5 mm以下のサイズのプラスチックの総称であり、海洋においては低次栄養段階の小さな生物への影響が懸念されている。

            4.

            1) NO3  ◆N2   NH3(またはNH4) ぁ‐鵬宗  ´ァ|γ癲´Α |眩埜把

            2)ANAMMOXについて.

            1990年代のことである。ヨーロッパのある廃水処理施設で奇妙な現象が見られた。その処理施設でどんどん窒素ガスN2が発生していたのである。その廃水処理施設をオランダの微生物学者達が丹念に調べたところ、ある特定の微生物が、嫌気条件で、亜硝酸NO2- をアンモニウムイオンNH4+ で還元 して、N2または窒素ガスを生成する反応が起こっていた。この微生物反応では、アンモニウムイオンが亜硝酸を還元する。それは逆にアンモニウムイオンが酸化されることを意味する。この微生物反応を日本語では嫌気性アンモニア酸化と呼び、英語ではAnaerobic Ammonia Oxidationと書くので、それを省略してAnammox(アナモックス)と呼ぶ。この化学反応式を書くと次のようになる。

            NH4+  + NO2- → N2   + H2O   

            これをうまく利用すると廃水処理の大幅なコストカットが期待できるため、現在、多くの研究者が開発に取り組んでいる。このAnammox反応を担う細菌の生理学的特性は嫌気性化学合成独立栄養性である。

            問5. 自家汚染について述べよ。

            養殖における自家汚染とは、主にゝ覬揃人椰による有機汚濁が直接の原因となり引き起こす水質・底質の悪化・老化現象のことである。養殖漁場での有機物負荷の主体は、残餌や養殖魚の排泄物などの易分解性有機物である。養殖漁場に負荷された∪有機物は主に微生物(特に細菌)による分解・無機化を受けながら沈降し、海底に堆積する。その分解・無機化の過程で栄養塩が生成され、これが水域のI抉浜棆に繋がる。さらに、この分解・無機化は海底堆積物中でも進行する。特に夏季、水域が

            だ層し、底層へのセ請任龍ゝが少ない時期には、海洋細菌の大半を占める通性嫌気性従属栄養性細菌は好気呼吸による分解・無機化が出来なくなり、その代わりに発酵的代謝でエネルギーを獲得する。その結果乳酸などの有機酸が底泥に蓄積される。酸素の欠乏した嫌気的な環境で有機酸が蓄積されると、海水中に大量に存在する SO42- (化学式)最終電子(水素)受容体とし、有機酸を水素供与体として利用する偏性嫌気性従属栄養性の硫酸塩還元細菌 が増殖を始める。が増殖すると 2 (化学式)が生成される。毒性の高いは水中の溶存酸素と化学的に反応して更に酸素を消費し、底層の貧酸素化が加速度的に進行する。底層が化すると底泥の酸化還元電位が下がる。電位が下がると、底泥から金属イオンや栄養塩が溶出し、水域の2修鬚気蕕暴長する。これは赤潮や青潮などが頻発する原因になる。まさに負のスパイラルに入ってしまうのである。これは、えらいことなのである。

            といったところが模範解答になるかと思います。各自、しっかりと理解しておくようにしてください。

             

             

             

             

             

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              マイクロプラスチック

              MP#11 マイクロプラスチックが抜けていました。

              <海洋プラスチックゴミ>

              海ゴミの7〜8割はプラスチックである。世界の生産量年間2億8千万トン、その約40%が使い捨てのプラスチックである。主要素材はポリエチレン(29.6%)、ポリプロピレン(18.9%)、ポリ塩化ビニル(10.4%)、ポリスチレン(7.1%)である。海鳥やウミガメなどがプラスチックを摂食する場合は顕在化しやすい(大型生物は大きなサイズのプラスチックを摂食するため、胃内容物中のプラスチックが視認されやすい)。最近問題になっているのは海洋に流れ込んだプラスチックのサイズの小さな生物への影響である。海洋に流れ込んだプラスチックは  光酸化  熱酸化により劣化・分解されて微細化する。この微細化したプラスチックのことを マイクロプラスチック と呼ぶ。定義としては 5 mm以下のサイズのプラスチックである。

               元々プラスチックには酸化防止剤・難燃剤・可塑剤・帯電防止剤・紫外線吸収剤など様々な化学物質が添加されている。 親水性 の物質はプラスチックから海水中に溶出する。一方、Α〜多綫 の物質は海水に溶け込むことはなくプラスチックに 吸着 され、濃縮される傾向がある。

               マイクロプラスチックは大きなサイズのマクロプラスチックが微細化されて形成されるだけではなく、─.泪ぅロビーズ として洗顔料などにもはいっており、生活排水として環境へ排出されている。

              マイクロプラスチックの存在が明らかになるに従い 低次栄養 段階の小さなサイズの生物(特に濾過摂食者、懸濁物摂食者、堆積物摂食者)へ与える影響が懸念されている。小さなサイズの生物へのプラスチックの影響は、基本的に大きなサイズの生物への影響と同じであり、摂食障害とプラスチック摂食に伴う化学物質による暴露である。ただし、マイクロプラスチックは植物プランクトンの光合成代謝にも影響する場合があることも報告されている。環境ホルモンとして問題となるPCBは 疎水 性の化合物なので、マイクロプラスチックに吸着・濃縮され易い。PCBを吸着したマイクロプラスチックを摂食した段階の微小生物は、マイクロプラスチックが環境に存在しない場合よりも、PCBを多量に細胞内へ取り込むことになる。この微小生物がより高い栄養段階の生物に摂食されるとすると 生物濃縮 による毒性物質の生態系への影響はより深刻なものとなる。

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                技術者倫理の1回目で伝え忘れたこと

                確か技術者倫理の1回目で話しきれず、ブログに書きます、と約束したのが9月頃でしたでしょうか。遅くなってしまいましたが書いておきます。気が向いた人は読んでおいてください。

                 

                3.科学技術と環境問題

                3-1 世代間倫理の背景と本質

                世代間倫理とは、未来の人々に対する現在世代の私たちの「義務」や「責任」を明らかにしようとする作業といえる。天然資源の枯渇やさまざまな環境汚染の影響を受けるのは未来世代の人たちであるという観点が世代間倫理を考える基本になる。

                 今という時間を共に生きる私たちの「共時的(synchronic、同時代の)」倫理を、未来世代の人たちとの「通時的(diachronic,歴史的な)」倫理へと変える発想がなければ、世代間倫理の問題点は見えてこない。

                 

                3-2 未来問題の難しさ

                <不可測性> :私たちは未来を予測することができない。

                <未来世代との相互性の欠如>:時間を共有してともに生きる現世代の人同士は、お互いの倫理を基盤として相互性が成り立つことを前提としているが、未来世代とは相互性が欠如している。相互性の欠如は、権利と義務、契約関係などの倫理を考える上での基本的な概念に影響を与える。これが世代間倫理の問題を難しくしている。

                <時間選好>:人間は時間選好を持つ存在である。たとえば、私たちは50年後よりは30年後、30年後よりは10年後と、現在に近いほどその価値をより高く評価しやすい。

                <世代間の配分と優先度>:例えば、枯渇性資源を未来世代のために保全しよう

                同世代でAがBに対して義務を持つということは、BはAに対して権利をもつ、権利と義務は相互関係にある。未来倫理ではこの基本的な権利と義務の関係が成立しない。

                とすれば、その分、現在世代に辛抱を強いることになる。現在の地球上における南北問題などは同世代間での資源の分配における問題であり、未来世代の権利を守るよりも現在の人たちの利益を優先すべきではないかという議論も成り立つ。何を、どのように、どの程度未来世代に割り振るかの量的バランス、あるいは優先順位でも異論が出てくるかもしれない。

                 

                 しかし、一方で、未来世代の人数は現世代よりも圧倒的に多く、さらに後々の世代になるほど、前の世代が消費した残りの枯渇性資源を彼らの間で分配しなければいけにということにもなる。ムムム、これは難しい・・・。

                 

                3-3 世代間倫理へのアプローチ

                 ドイツの実践哲学者ハンス・ヨナス(19031993)は、「責任という原理−科学技術文明のための倫理学の試み」で、現代の地球環境問題を考える上での重要な視点を提供している。ヨナスは、現在においてまだ存在せず、現在の世代とは相互性が成り立たないような未来世代を権利主体として認めることができるのかという難問に対し、「人類の存続そのものへの価値」と「親の子に対する無私の責任」から説を展開している。

                 従来の倫理は人間と人間の直接的な関係であり、基本となるのは「今」と「ここ」である。しかし、科学技術の進展は人間の行為の本性を変えてしまい、技術の集団的、累積的な歩みがもたらす可能性は新しい倫理を必要とするようになる。人間の責任の範囲を「今」と「ここ」から空間的にも時間的にも広げる。すなわち、全自然、全未来へと倫理の対象を広げた新しい倫理には、未来を認識する義務や未来世代の不幸を感じ取る能力が要求されるのである。

                 ヨナスの考える未来に対する義務、すなわち未来倫理は、相互性に基づく伝統的な「権利と義務」の考え方からは出てこない。人類が存在し続けるのは人類にとっての無条件の義務であり、我々は将来の人類のあり方(どのように存在するのか)に対する義務も負っているのである。

                 相互的でない原理的な責任と義務が自発的に承認され、かつ実践されている事例として、子供に対する親の責任と義務を挙げている。将来の人類に対する責任も、そうした種類の義務である。

                 

                3-4 「沈黙の春」が訴えた未来世代への責任

                DDT dichloro diphenyl trichloroethan

                1874年、オーストリアのツァイドラーが初めて合成。1939年にスイスのガイギー染料会社のポール・ミューラーが殺虫剤の構造や作用の系統的研究からDDTの殺虫力を発見した。第二次世界大戦時、イタリアに進駐したアメリカ軍はDDTでシラミを退治し、大流行していた発疹チフスをわずか3ヵ月で撲滅した。その後、昆虫に対してはきわめて有効で人などの高等生物に対しては毒性が小さい薬剤として、チフス、マラリアなどの病原体を媒介する蚊やノミ、シラミといった病害虫の駆除薬や、農業用殺虫剤として世界各地で用いられるようになった。ミューラーは1948年ノーベル生理学・医学賞を受賞している。化学構造は有機塩素系の単純なものである。

                 

                <予見できなかったDDTの厄介な性質>

                ひとつはDDTが生態系において難分解性かつ生体蓄積性(濃縮性)であることである。食物連鎖を通じての高次生物への蓄積は、100万倍から1000万倍ときわめて高い生物濃縮を引き起こす。これはDDTが脂肪組織に溶存し、生物体内を移動できないからである。

                二つ目は、DDTがある種の脊椎動物に対して生活史の特定の段階においてのみ毒性を発揮する点である。例えば、DDTは鳥の卵殻の必須成分であるCa2+

                プロレス技のDDTは、殺虫剤のDDTに由来する。フロント・ヘッドロックで片脇に捕らえ、そのまま後ろに倒れこんで相手の頭部をマットにたたきつける投げ技。天龍のdangerous driver of Tenryuで混乱。。

                分泌を阻害する。そのためDDTにさらされた鳥(主に汚染された餌を摂食することによる)は、非常に薄い殻をもった卵を産む。その様な卵の孵化率は低い。つまり、DDTは成鳥に対して無害であるが、その種を絶滅させることができる。DDTは魚に対しても同じような選択毒性を持っている。成魚に対しては見かけ上影響ないが、卵黄の吸収時期にある幼生をしばしば殺す。

                 

                 

                日本では1981年に化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の第一種特定化学物質に指定され製造と輸入が禁止されている。また、国際的には残留性有機汚染物質(POPsPersistent Organic Pollutants)に関するストックホルム条約に採択され、2004年に発効している。

                 

                ただ、世界各地でDDTの使用が禁止されたが、経済的にも工業的にも弱体である発展途上国ではDDTに代わる殺虫剤を調達することは困難であり、DDT

                散布により激減したマラリア患者がDDT禁止以降は再び激増したりしている。例えば、スリランカでは1948年から1962年までDDTの定期的な散布を行い、それまで年間250万人を数えたマラリア患者の数を31人まで激減させることに成功していたが、DDT禁止後には僅か5年足らずで年間250万人に逆戻りしている。また、発展途上国ではDDTに代わってパラチオンなどのDDTよりも毒性が強いことが判明している農薬が使用されている実態もあった(パラチオンは日本を含む主な先進国では使用が禁止されている)。

                 

                このため2006年よりWHO(World Health Organization世界保健機関)は、発展途上国においてマラリア発生のリスクがDDT使用によるリスクを上回ると考えられるとき、マラリア予防のためにDDTを限定的に使用することを認めた。

                 

                3-5 トレード・オフ(交換条件、相殺取引、兼ね合い)を考える

                 カーソンは「沈黙の春」で、別の道として化学農薬の代わりに天敵を利用する生物学防除や、昆虫の不妊化、天然農薬を推奨している。しかし、生物学防除が成立するのは地理的に隔離された孤島などに限られ、また、昆虫の不妊化のためには放射線やマスタードガスのような毒ガスにも使われる有害な化学薬品が必要になる。

                 また、天然農薬として、ある種のバクテリアが産生する天然殺虫成分の利用が有効とされているが、これはまさしく遺伝子組み換え植物に組み込まれている成分そのものである。Bacillus turigensisの遺伝子を組み込まれた遺伝子組み換えトウモロコシはすでに商品化されており、殺虫剤使用量を劇的に低減させることを可能にした。科学技術の成果であるが、一方で遺伝子組み換え作物に対する安全性確認が課題となっている。

                 「物質はすべて毒である。毒でないものはないが、その用量によって物質は毒にも薬にもなる」という言葉は物質の本質をついている。ある対策をとれば、必ず別のリスクが現れる。地球環境問題はトリレンマ構造にあり、対策を考えるときには、絶えずトレード・オフで予想される弊害や副作用、問題点を考慮しながら進めなければならない。

                 

                化学農薬をカーソンは「死の霊薬」と呼んだが、この反省からその後の農薬開発に当たっての安全性への配慮は格段に向上しており、食料増産に大きな貢献をしている。

                (参考文献:環境倫理学入門、一般社団法人近畿化学協会・化学教育研究会 編著、化学同人)

                 

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                  水質学MP#12の正解

                  水質学MP#12の正解です。

                  MP#12

                  自家汚染とは、主に (給餌養殖 )による有機汚濁が直接の原因となり引き起こす水質・底質の悪化・老化現象のことである。養殖漁場での有機物負荷の主体は、残餌や養殖魚の排泄物などの ( 易分解性)有機物である。養殖漁場に負荷された⇒機物は微生物(主に細菌)による ( 分解 )を受けながら沈降し、海底に堆積する。

                  このは海底堆積物中でも進行する。水域が ( 成層 )し、 (底層 )への( 酸素 )の供給が少ない(夏季)には、通性嫌気性従属栄養性の海洋細菌は( 好気呼吸)による分解・無機化が出来なくなり、その代わりに(発酵 )を行う。その結果、( 乳酸 )などの有機酸が底泥に蓄積される。酸素の欠乏した嫌気的な環境でが蓄積されると、海水中の (硫酸塩SO42- )を (最終電子(水素)受容体 )とし、を( 水素供与体 )として利用する ( 硫酸塩還元細菌)が増殖を始め、( 硫化水素 )が発生する。

                  は化学的に水中の溶存酸素と反応して更に酸素を消費し、底層の貧酸素化が加速度的に進行する。底層が貧酸素化して ( 還元的 )になると底泥の酸化還元電位は ( 下がる )。酸化還元電位が韻函底泥から金属イオンや栄養塩が溶出し、水域の ( 富栄養化 )をさらに助長する。これは赤潮や青潮などの発生も助長する。まさに負のスパイラルに入ってしまうのじゃ。そうならないように水族環境学研究室では水族のためのより良い環境づくりに日々努力しているのじゃ。

                   

                   

                   

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                    水質学MP#5〜10の正解

                    水質学のMP#5〜10の正解です。復習をシッカリとしておいてください。

                    MP#5

                    3章 天然における水の存在量と循環

                    3-1. 存在形態からの分類

                    大気中の水としては /緇気   、水滴、雲・霧・雨・雪・あられなどがある。◆|鷲戎紂には、大陸氷、湖沼・河川水、海洋、上水・下水などがあり、地下水、それから生体内の水などがある。

                     

                     

                    3-2. 存在量と循環

                    地球全体としての水の存在量はL鵝1.4×109 km3であり、      そのうちぬ鵝97.5 %が海洋に存在する。(97%、98%も○)

                     

                    日本の平均年間降水量はァ1600 〜  1700 mmである。これに本土面積を掛け合わせると、降水総量はμ鵝6〜7×1011 m3になる。

                     

                    地表から大気に移動する蒸発量の推定は難しいが、「(降水量)−(ある河川の流域の流出量)」で蒸発散量を推定する。ただし、この場合、河川では地下への浸透がほとんどないと仮定している。降水量に対する蒸発量の割合は、地球上でもかなり異なる。日本では平均А20 〜30 %、米国では約 60 〜70 %、

                    豪州では約 80 %となる。オーストラリアは最も乾燥した大陸と言える。

                     

                    地中の透水層において、地下水によって飽和している地層のことを帯水層 aquifer と呼ぶ。世界最大級のは米国中部のグレートプレーンズの地下に分布するもので

                     オガララ帯水層 という。この地層中の地下水は氷河期に蓄えられたことから  化石水 と呼ぶ。

                     

                    『食料を生産するのに必要な水の量』を考えるとき、その水を 仮想水 バーチャル・ウォーター virtual water  と呼ぶ。例えば、1tの小麦の生産には約1000t(一説では2000t)のが必要であり、牛肉1 kgのは、その飼料の生産に必要な水量を考慮すると、牛肉1 kg当たり20 tの水が必要ということになる。

                     

                    MP#6

                    4章 水質と生態系

                     \限峽蓮とは、ある地域に住むすべての生物とその地域内の非生物的環境をひとまとめにし、主として物質循環やエネルギー流に注目して、機能系として捉えた系 である。従って、水域生態系を考えた場合、水質とは非生物的環境の主要なものということになる。例えば、河川の上流域を考えてみる。上流部では河床が岩や巨礫(きょれき)で構成されており、◆〕和源請如’仕が高く、樹木により、

                    F照 が遮られ、ぁ ̄浜椡 濃度が低い。その結果、一次生産者である

                    ド嫦總類 等の光合成活性が限られ、清涼な水質環境が形成され、イワナ、ヤマメ、カジカといった魚が多くなる。周囲の樹木が伐採された場合、が増加し、水温が上昇し、い増加する。その結果、藻類が増加し、一次生産量が増加し、水域環境に負荷される有機物量が増える。ちょっとした、周囲の環境の変化が水質を変化させ、生物相に影響し、生態系全体を変えてしまうのである。

                     

                    水質学で重要な物質にDHMOというものがある。dihydrogen monoxide(ジハイドジェンモノオキサイド)の省略形である。このDHMOは次のような特性を持ち、使用を規制すべきだという意見と使用を続けるべきだとの意見がある。DHMOは、1)酸性雨の主成分である、2)CO2よりも温室効果が高い、3)重篤な火傷の原因になる、4)多くの材料の腐食を進行させる、5)電気事故の原因になり自動車のブレーキの効果を低下させる、6)末期ガン患者の悪性腫瘍から検出される、7)短時間に大量に吸引すると死亡する、8)原子力発電所で用いられる、等々。さて、あなたはDHMOの使用を、規制した方が [匹ぁ↓△靴覆ても良い、どちらかを    で囲んで下さい。これは点数とは関係ありません。友達と相談してはいけません。

                     

                    MP#7

                    4-1.基本的な水質項目

                    4-1-1 溶存酸素(英語ではDO、省略せずに書くとDissoved Oxygen  

                    <溶存酸素の測定法の詳細>

                    DO測定法は3つある。ひとつは酸素透過性のプラスチック薄膜を固体電極にかぶせ、酸素による電流値の変化からDOを測定する◆   ヽ嵋貪填頬        。2つ目は最も古典的だが、現在でも頻繁に用いられる方法であり、試料水中のDOを試薬を使い化学的に測定するウインクラー法 Winkler’s method 。3つ目は最も最新式の方法であり、これは蛍光物質の蛍光エネルギーが酸素に奪われて発生する消光現象を利用する。これをぁ〃峺法 と呼ぶ。

                     

                    △濃請琶子はプラスチック薄膜と電解液の中を拡散し、電位規制されたカソード表面(資料集図7-3参照)に到達して還元される。このとき流れる電流値は酸素分子の拡散により支配され、試料水中の溶存酸素濃度に比例する。その電池反応を示すと、 

                    O2 + 2Cd + 2H2O → 2Cd(OH)2 (Ecell=+1.162 V:アノードとカソードの電位差)

                     

                    では、試料水にノ音瀬泪鵐ンMnSO4 溶液とアルカリ性の水酸化ナトリウムNaOH溶液 を加えると、Mn(OH)2 が生成し沈殿(白色)する。このГ水中の酸素分子と反応して、溶存酸素量に対応する分だけが酸化され褐色の沈殿に変化する。この化学式はMnO(OH)2である。この酸化された褐色の沈殿量が溶存酸素量に対応しているので、この量を測定することで、水中に溶けていた酸素量を知ることができる。

                     

                    い任蓮蛍光物質分子は、外部から紫外線等の照射を受けると光エネルギーを吸収して基底状態から励起状態に遷移する。励起された分子は、蛍光を放射しながら基底状態に戻る。しかし、光励起状態にある分子の周りに酸素分子が存在すると、両分子の相互作用により励起エネルギーが酸素分子に奪われ、蛍光発光の強度が減少する。この減少を消光現象と呼び、蛍光発光の強度は酸素分子の濃度に反比例する。

                     

                    純水の飽和溶存酸素量 温度 水温 により変化する。20.0℃のときの純水の飽和溶存酸素量は8.84 mg/Lである。海水の場合、塩化物イオンの影響を考慮する必要がある。海水の飽和溶存酸素量は、純水の飽和溶存酸素量の大体 80%程度になる。

                     

                    MP#8

                    4-1.基本的な水質項目

                    4-1-1 溶存酸素(続き)

                    1999年に施行された持続的養殖生産確保法では、ある一定条件のもと、溶存酸素すなわち水に溶けているO2量が、4.0 mL/Lを上回ることを推奨している。このO2分子を体積で表示した4.0 mL/Lという値を、重さ(質量)で表示すると  5.7 mg/Lとなる。この溶存酸素の体積と質量の関係を計算で出してみると次のようになる:

                    気体1モルの体積は、標準状態(0 ℃、1気圧=1013.25 hPa)で◆22.4 Lになる。O2分子1モルの質量は32 だから、4.0 mLのO2分子が何モルに相当するかを計算すればよい。LをmL(ミリリットル)に換算すると、(×1000) mL。この(×1000) mL が1モル分のO2分子なのだから、4.0 mLは、(4.0/(×1000))モルということになる。従って、(4.0/(×1000))モルのO2分子の質量は、(4.0/(×1000))×=ぁ0.0057  g、すなわち、これをmg(ミリグラム)に直すと,箸覆襦

                     

                    4-1-2 有機汚濁の指標

                    「有機物」とは、ァ  \己 に由来するΑ|坐如仝胸を含む物質の総称である。ちなみに、無機物とは水・空気・鉱物類およびこれらを原料として作った物質の総称である。

                     

                    <BOD

                    有機物の指標はいくつかある。代表的なもののひとつが、BODである。BODを英語で省略せずに書くとА Biochemical Oxygen Demand         となり、

                    日本語では─ \己化学(生化学)的酸素要求量(消費量)    という。BODは試料水中に存在する有機物が、微生物(主に  細菌 )によって、好気的な条件下で、呼吸により分解される間に水中から消費される溶存酸素量(DO)で示す。通常、試料水は密閉容器内で一定期間(5日間)、一定温度(20 ℃)で保たれる。開始時のDOと5日後のDOの差がBODということになる。   水産用水基準  では、魚類の自然繁殖条件としてBOD値が3 mg/L以下、生育条件として5 mg/L以下であることが望ましいとしている。下水道法による水質基準では、BOD値は600 mg/L未満にしなければいけない。

                     

                    MP#9

                    4-1.基本的な水質項目

                    4-1-2 有機汚濁の指標(続き)

                     

                    <COD>

                    水域の有機物濃度の指標として使われるものとして、BODの他にCODがある。これは省略せずに英語で表記すると   Chemical Oxygen Demand  となり、日本語では◆     _蹴愿酸素要求(消費)量   となる。CODは試料水を一定条件下、強力な酸化剤で処理し、消費される酸化剤の量を求め、その量に対応する酸素の量に換算したものである。COD測定で使用する酸化剤の種類と濃度、酸化反応の温度や時間などの条件により、同じ試料水であってもCOD値は異なる。従って、

                    BODにしてもCODにしても、あくまで有機物量の 相対的 指標となる。

                     

                    COD測定でよく用いられる酸化剤はぁ   _瓮泪鵐ン酸カリウム (和名)と二クロム酸カリウム(K2Cr2O7)である。い硫蹴惻阿ァ   KMnO4  である。

                     

                    <TOC>

                    CODの他にTOCも有機物量の指標となる。TOCを省略せずに英語で表記すると、Α      Total Organic Carbon  である。TOCは試料水中の酸化分解されうる有機物の全量を、有機物の主要構成成分であるА  |坐芭漫 で示したものである。燃焼酸化式―赤外吸収法がよく用いられる。この測定原理は、試料水を一定の空気または酸素とともに900〜950℃で─  ’馨董 させ、試料水中の炭素を全て二酸化炭素 CO2  にし、量を測定して全炭素量を算出する(A)。また、試料水を150℃で燃焼または酸性(pH<3)にし、そこから出てきたを測定する(B)。この(B)は試料水中にもともと存在したの   無機炭素量 二酸化炭素と書いても○にします  に相当するので、「(A)−(B)」から、試料水中の全有機炭素量を算出する。CODは手間がかかるが、通常の理科実験設備があれば、後は必要な試薬があれば測定できる。一方、TOCはCODに比べると、より手順は簡単かつ信頼性も高いがTOCアナライザーという高価な測定装置が必要になる。

                     

                    MP#10

                    4-1.基本的な水質項目

                    4-1-3. 懸濁物質と蒸発残留物

                    懸濁物質

                    水質項目の中には、試水中に存在する物質(生物・非生物を問わない)をフィルターでろ過し、そのフィルター上に分離されて残った物質量で評価する項目がある。これを懸濁物質と呼ぶ。懸濁物質量はSSと略記されることが多いが、SSを正式に英語で書くと Suspended Solid となる。このSSの測定手順は次のとおりである:決まった孔径(通常は0.45μmや1μmが良く用いられる)のフィルター(ガラス繊維濾紙を良く用いる)をあらかじめ乾燥させて重量を測定し、試水を濾過後、フィルターを105 〜 110 ℃ 2 時間乾燥させた後、デシケーター(シリカゲルなどの乾燥剤の入った容器)内で放冷し、フィルターの重量を測定し、濾過前後の重量の差からSSを算出する。ただし、木片・紙切れ・布切れ・石ころ等が混在する場合、これらは懸濁物とは扱わない。因(ちな)みに、サイズが100 mm以上で偶発的に試水に混入したものをぁ ^枴  、2〜100 mmのものをァ仝之訴 と水質学的には呼ぶ。

                     最近、中国の大気汚染で問題になっているPM2.5は粒子の直径が2.5 μm以下の小さな微粒子のことでPMとはΑ  Particulate Matter (英語)の省略形である。一般的にはマイクロメートル・レベルの微粒子のことを指す。主に燃焼で生じたすす(煤)、風で舞い上がった土壌粒子(黄砂など)、工場や建設現場で生じる粉塵のほか、燃焼による排出ガス(硫黄酸化物SOxや窒素酸化物NOx)や石油からの揮発性有機化合物等のガス状大気汚染物質が、大気中での化学反応により粒子化したものなどがある。

                     

                    蒸発残留物

                    105〜110℃で恒量にした蒸発皿に試料水を入れ、А(騰水浴(上) で蒸発乾固させ、蒸発皿を乾燥機(105〜110 ℃)で2時間乾燥後、デシケーター中で放冷し、重量を測定する

                     

                     

                     

                     

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